群雄割拠の時代に突入する飲食店業界の中で、何だかんだ言いつつもアンナミラーズの今後を心配する、片桐紀長による檄文(げきぶん)を再録します。
_ RinRin王国(10/2)で「全盛期の1/3以下!」と驚かれて(?)しまっているアンナミラーズ。年表を見れば一目瞭然、ピーク時20店舗だったものがいまや6店舗ですからねぇ。
_ なんでここまでアンミラが衰退してしまったのか。もうかってないから(!)と言ってしまえばそれまでですが。決算資料だけ読んでも分からない部分が多すぎるので、いままでの見聞や伝聞を元に、まとめてみますか。
_ …って、これだけでは、競合他社に負けた理由は分かりませんね。
_ それから、…これはあまり触れたくないが…
_ 端的に言うなら、
ということに尽きる。
_ 致命傷になったのが、皮肉にも、(今のところ)最後の新規店舗となった、お台場店であった。ニューヨークスタイルのフュージョン料理を売り物に、客単価の高いディナーで勝負に出たわけだが、結果は散々なものに。同じフロアに、グローバルダイニング各店が出店したことも不運ではあったが、観光地で賭けに出たことは果たして正解だったのかどうか。
_ 悪いことに、起死回生を賭けて2003年から同じ事業部で新業態「JOUVAUD(ジュヴォー)」を始めたものの、こちらが予想外に苦戦。パティスリーはともかく、当初アンナミラーズからの業態転換として想定されていたカフェが、想定外の結果しか出せていないものと思われる。
_ しかも、JOUVAUDに戦力を振り向ける一方でアンナミラーズの競争力は低下する。たとえば、季節のパイとして3種投入されていたところが、いつの間に2種となり、しまいには1種になってしまった。しかも、通常ラインナップのパイも2〜3種休止していたりする。ちなみに、現時点ではダークチェリー・ココナッツカスタード・キーライムが休止中だ。
_ また、フェアメニューもなかなか実施されなくなってしまった。ようやく出てきたと思ったら、メニューを内製しているらしく(店舗数減ったし、カラープリンタも安くなったしねぇ)、およそシズル感に欠ける写真だったりする。
_ 以前に2001年3月期決算から2004年3月期決算までの事業部売上・損益比較を出したが、2005年3月期決算の数字も入れてみよう。
年度 | '01 | '02 | '03 | '04 | '05 |
営業損益(万円) | -19,000 | -2,100 | -6,000 | -15,600 | -23,600 |
売上高(万円) (前期比) | 209,300 (-3.8%) | 198,200 (-5.3%) | 190,600 (-3.8%) | 173,700 (-8.9%) | 156,000 (-10.2%) |
…何ともやりきれない。
_
今後の見通しについては、何とも確かなことは言えない。例えばの話、高輪店は本年2月のリニューアルによって、大幅に売上を伸ばしているそうである。しかしその一方で、OES端末を導入した結果として、接客レヴェル維持が危うい状況にある。
(サービスの重要性については、(少々古いが)たとえばサービス悪けりゃ、命取り【ファミリーレストラン】を参照。また、この記事への「読者の声」にある、暇さえあれば店長に捕まって言わされたものでしたは必読。あと、(これも古いが) サービスレスは生産性を上げないも参照。)
_ 外食産業全体でみると、業績好調な大手といえども、その多くは業務拡大やM&Aによるものであり、既存店舗の売上低下を新規店舗で支えているというのが実情である。また、より多くの業態・ブランドを持ち、一方が駄目でも他方で支えるという図式で何とかやっている感がある。
_ スケールメリットが全く見込めなくなってしまった現状では、大手の真似をしても駄目だろう。むしろ、大手に真似のできないことをやってこそ、活路は見いだせるのではないか。
_ なお、片桐は飲食店で働いた経験は無く、また、井村屋製菓株式会社の関係者でもないので、念のため。
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